NPO法人 日向ぼっこ

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10月勉強会を実施しました

 今月も勉強会を10月17日15時から17時で実施しました。10月のテーマは「個人が生み出す教育格差」でした。一般の企業にお勤めの方や乳児院職員の方など3人の方がご参加くださり、様々な立場からの意見を交換することができました。

 まず、「教育とは何か」ということについて「学び」と比較しながら考えてみました。「教育」は「学校教育」「家庭教育」というように誰かが誰かに対して行うもので、受益者からすると受動的であるのに対し、「学び」は学びたいという意思のもとに、受益者自ら能動的に行うことであるといった意見が出ました。そして日本では早くから一般の人に対する「教育」が行われており、江戸時代においては藩校、郷学、私塾など様々な学び舎が存在したこと、識字率も世界的大都市であるロンドンやパリと比べても格段に高かったことや、その理由などを歴史的経緯等も含めて話し合いました。

 次に「教育格差」についての議論となりました。一般的には教育格差は社会や環境が生み出すことが論点となり語られることが多いのですが、今回の勉強会では「個人が生み出す」教育格差について考えてみました。

 同じような環境に置かれ、育っても、「教育」において違いが出てくるのはなぜかについて、議論をしました。「学ぶ姿勢が身についているかどうか」「親のかかわり方がどうだったか」「選択肢がどれほどあったのか」「個々人の性格の問題なのか」「頑張れる力、やり通せる気持ちがあるのか」といったことなどが、違いが生じることに関係してのではないかという意見が参加者の方からあげられました。また、マルカス・アウレリウスの「自省録」から「人生とはわれわれの思考が作りあげられるものに他ならない」やビクトル・フランクルの「人間には態度を決める自由がある」といった言葉も紹介されました。

 最後にさまざまな理由から生じる個人における教育格差への対策として、「得意なことを見つけて極めていく」「外部からのきっかけを見つける」「逃げ場を考える」「元気をくれる友人を作る」「共在感覚をもてる関係を作る」「支援者にアクセスするすべを知っておく」「相談できる関係を作る」「日常的なかかわりを持っておく」などの意見が出されました。

 教育格差の問題は、現代社会においてますます大きな、そして重要な問題となっているのではないでしょうか。予定時間を30分以上過ぎても意見交換が続き、参加者の皆様のおかげでとても深い議論ができたのではないかと思います。さらにこの問題について考えるために、ぜひまた多くの皆様と意見交換の機会を持ちたいと思っています。

 参加者の方からは後日のアンケートで、以下のようなコメントをいただきました。

・ファシリテーターの方も参加者の方も率直で気負いなくやられている感じがしたので、つい思ったことを、本当にそのまま、べらべらと発言させていただきました。

・いろいろな方々の考えに触れることで視野を広げ、自身の考えを深めたいと思っています。自身では思いつかない話し合いの展開や参加していらっしゃった方々の考え方に触れることで新鮮な気づきと感動がありました。

・普段あまり意識しない教育について、様々な視点からの意見が聞けて良かったです。

 11月の勉強会は11月21日(日)15時~17時で、テーマは「デジタルツールの長所と短所」です。ぜひ多くの皆様にご参加いただき、意見交換できたらと思っています。

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