NPO法人 日向ぼっこ

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2月の勉強会の様子

みなさま

 2月12日(日)の15時~17時で勉強会を開催しました。今月の勉強会テーマは「異者と生きる」でした。当日は会社員の方が1名参加してくれました。

 今回は、日向ぼっこのスタッフがファシリテーターを担当し、長野県上田市が公開している動画「多文化共生のまちづくり–すべての人が暮らしやすいまちづくりを目指して-」の内容を取り上げながら進めました。この動画では、上田市多文化共生推進協会(AMU)の取り組みや地域の方のインタビューなどが紹介されていました。

 まずは、動画をご覧になったご感想を伺ったところ、

・コロナで帰国された方も多いのかなと見ていた。逆の立場だと、食べ物や習慣の違いに戸惑ったと思う。ポケットウォークなどもあるが、方言の問題がある。識字率の差もあり、現地の人には通じない外国語も多い。

・名前や外見は記号にすぎないし、それぞれ抱えている事情も違う。一人一人と向き合うことや想像力が大事。

・日本語を使う者同士なのに通じないという感覚を持ったことがある。アイデンティティーについて悩んだ経験もあった。

などの声をいただきました。

 次に、多文化共生における「言語」の問題について皆様にご意見を伺いました。皆様からは、

・外国語がよく理解できている場合でも、ジョークの感覚などがずれている場面をよく見る。それにより宗教の問題で大事になることもある。アメリカにいた頃、外国語を学ぶことに対してのスタンスも全く違うと感じた。

・外国語を使う方が沢山いる環境には外国語の案内は多いが、こぼれてしまう人たちをどう救うかが問題。自治体や教育機関の役割が大きいと思う。

・駅などで外国語の表示をよく見かける。触れる機会があって、お互い勉強し合う環境があればいいと思う。そういうシーンにどれぐらい出会うかで変わる。異文化は面白いなと思う。

・仕事の問題などもかかわってくるので、言語は死活問題。少数だと対応されないままになってしまう。言語を習得しないと始まらない。

などのお話しをいただきました。

 また、外国人の参政権について皆様にご意見をお聞きしたところ、

・参政権について大学でレポートを書いたことがある。全員が異者を受け入れることがあり得ないことを理解してしまっている。

・一定数反対派がいるが、本当の民主主義を考えていけば、変わるかも。

・参政権は憲法で、「国民固有の権利」だと書いている。諸外国では国政選挙にも外国人の選挙権を認めているところもあるが、日本は認めていない。日本国憲法の理念は、基本的人権の尊重や民主主義である。民主主義の原理は治める人と治められる人が同じという原理であるので、納税者である外国人にも参政権が認められる余地がある。しかし、議論していかないと進まない。最近は経済の後退とともに後戻りしている感覚。

などのご意見をいただきました。

 加えて、「移民」についても皆様のお考えを伺いました。皆様からは、

・日本も貧しい時は移民に出るケースが多かった。今の自分たちを守るために、他者を排斥するという根深い問題がある。借金を背負わせて働かせるやり方もあった。教育水準が上がると、きつい仕事などがより貧しい人たちの仕事になっていると思う。そういった環境からいかに離れるか。それしかない環境から引き揚げてくれる大人が必要。

・「違う」というだけで身に危険が及ぶことがあり、自衛せざるを得ない現実もある。

・白バイに女性も乗れるようになったので、トライしてみたいと思ったが6代前まで犯罪者と外国人がいないとなれないという事情があると聞いて驚いた。どうしても、人間には異質なものが怖い、嫌だというような排斥する性質が人にはある。同じ仕事で給与の差があることなどもまだまだある。そういったことを考えない方向に行っていると思う。一人でも多くの人が考えて続けていかなくてはいけないこと。

などのお考えをお話しいただきました。

 また、関連することとして、

・社会保障は1981年国籍条項が廃止され外国籍の方にも適応されているが、それまで外国人には社会保障は適応されていなかった。

・「国」という単位を作ってしまった。悲惨な戦争の過去もある。歴史の中で、今の日本が戦争しないでいられるのはいいこと。

・「異者」とどうかかわるかについて、宗教色が比較的薄く、教育水準も生活水準も平均して高い日本が世界のモデルになってほしいと思っている。

といったご意見もあがりました。

 最後に、今回の勉強会についてのご感想をお聞きました。皆様からは、

・賃金の安い労働力に依存する体質が続いていて、必要悪だと思っているところがある。地震があった時など、どこまで支援するかのバランスが難しい。弱者の人にとってどうか考えなくてはいけない。貧困、差別を無くさないことでメリットを得ている人がいる。もっと勉強しないとなと思う。

・考えられる人から考えて、社会が少しずつ変わっていくのかなと思う。

・格差がどんどん広がっているというデータがある。資本主義そのものを考えなくてはいけない時だと感じる。

などの声が上がりました。

 後日、お送りいただいたアンケートでは、

・さまざまなご経験に基づくご意見を聴くことができて良かった。

などのご回答をいただきました。

 今回皆様からお話を伺う中で、「異者」を知ろうとする時に必要な姿勢や、社会における色々な問題点について、改めて考えるきっかけをいただくことができたと同時に、大変難しい問題でもあることを再認識しました。

 次回の勉強会は3月12日(日)15時~17時、テーマは「2022年度のまとめ」です。みなさまのご参加をお待ちしております。  

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