NPO法人 日向ぼっこ

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6月の勉強会のご報告

 6月8日(日)15時~17時に日向ぼっこ勉強会を開催しました。テーマは「児童養護施設職員の労働環境について(学会報告)」でした。今回の勉強会には、現在、児童養護施設で働いている職員の方や児童養護施設等での生活経験がある方も参加してくださいました。

 最初に、話題提供として、5月31日に行われた医療・福祉問題研究会の定例会に参加した日向ぼっこのスタッフが、日本福祉大学堀場純矢准教授による発表「児童養護施設の労働問題:子ども・職員双方の人権保障のために」の内容を簡潔に報告しました。

 施設職員を対象として実施した、労働条件や健康状態、ストレス、やりがいなどに関するアンケート調査の結果からは、国による児童養護施設の小規模化・地域分散化の方針が職員の負担増加につながり、職員の孤立感・孤独感、先輩からの指導がない、職員の確保・育成が課題となっていることが明らかになったそうです。また、東京都における里親登録家庭数は、2021年度に約1134家庭ですが、里親に委託されている児童数は、2021年度で487人で、児童相談所に里親として登録している2690世帯のうちおよそ7割にのぼる1910世帯が、子どもを受け入れることができていないとのことでした。児童養護施設であれ、里親であれ、子どもの人権擁護のためには、職員の人権を守ることが必要で、そのための具体的な方策として、①現場の状況や声をくみ取る、②職員の意識改革、③労働法や労組について学ぶ機会の提供などが挙げられたとのことでした。

意見交換では、職員側と当事者(子ども)の側からの両方のお話があり、貴重な機会になりました。いくつかのご意見を紹介します。

・施設職員には、「労働者」という意識が薄いのではないだろうか。

・職員が、施設で暮らす子どもから、「仕事だからやってるんでしょ?」といわれることを恐れているところがあるのではないか。「仕事としてやっている、と言うと良くない」という意識が、職員側にも子ども側にもあるのかもしれない。

・児童養護施設に限らず、「福祉」の仕事全般に、「仕事」と言ってはいけない、という雰囲気があるような気がする。

・「仕事としてやっている」「労働としてやっている」という場合でも、相手や仕事内容をないがしろにしているわけではない。「仕事としてやっている」ということと、「しっかりやること」は、両立するのではないか。

・施設で暮らしていたときに、職員の関わりに「異常な手厚さ」を感じて、逆に、「無理しているのではないか」「義務だからやっているのではないか」と思った。

・中学生のころ、養護施設の施設職員から、毎朝、何度も何度も起こされた。なんでそんなに起こそうとするのか疑問に思い、「仕事だから起こしているのか?」と聞いたところ、はっきりと肯定も否定もされず、なあなあにされたのが嫌だった。

・施設職員の仕事には、「子育て」「親代わり」というイメージがあり、仕事や労働に張り付いたイメージと合わないのかもしれない。

・最近は、子どもの人権を守ろうという機運があるが、職員の人権が守られていないと、子どもの人権が守られないのではないか。

・児童養護施設に限らず、日本全体の労働環境を守らなければいけない。

・現状に不満を感じながらも、今いる職場環境をどうより良くしていくのかが課題ではないか。

後日、参加者の方からいただいたアンケートをご紹介します。

・児童養護施設で今起きてる問題や課題が分かって良かったです。

・貴重なお話を伺うとともに、安心安全な場で自由に感想や意見を述べることができるので参加しました。

・出産・育児中の女性児相職員の職場復帰について、在宅勤務云々というお話があったと思いますが、別の勉強会で、やはり児相(あるいは放デイ?)職員の方が、報告や記録など、書類づくりの負担の半端でないことを嘆いていたことを思い出しました。その方はけっこう若者だったので、本来ならDXでもっと、いくらでも効率化できるのにと思うが、世代交代しない限り無理だと思っている、というようなご意見だったと記憶しています(3、4年前)。また、何かの経済番組で、介護の現場で、DXを導入しやはり記録業務を軽減したことで、事務は減り、入所者との触れ合いといった本来の仕事にさける時間が増え、やりがいも増し、職員の退職も減った・・というレポートも見ました。こうした業務と在宅勤務は相性がよさそうに思うので(子どもと接した記録をつけることはできませんが)、一つの手かも・・と思いました。最も今どきはその辺りは生成AIの出番かもしれませんが・・

ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

7月の日向ぼっこ勉強会は以下のとおり行います。

日時  :7月13日(日) 午後3時 

テーマ :災害時のこどもの居場所

次回もオンライン(Zoom)で行います(当日にZoomのURLをお送りします)。

勉強会への参加をご希望の方は、下記のどちらかの方法にてご連絡ください。

■お問い合わせフォーム:https://hinatabokko2006.com/contact2/

■Mail:info@hinatabokko2006.com

 初めて日向ぼっこをご利用される方は、事前面談が必要です。

 たくさんの皆様のご参加をお待ちしています。

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