NPO法人 日向ぼっこ

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5月の勉強会の様子

みなさま

 5月14日(日)15時~17時に勉強会を開催しました。今月のテーマは「あなたにとっての居場所とは」でした。居場所事業に関わっていらっしゃる方にご参加いただきました。

 はじめに、NHKのクローズアップ現代で放送された「家でも学校でもない第3の居場所」を視聴しました。映像では、前半に、子どもたちが放課後に集まる駄菓子屋に併設された「居場所」、後半には、血縁のない者が暮らすシェアハウスの社会実験が取り上げられていました。映像視聴後、感想や「居場所」についてのご自身の意見などを話し合いました。
 
皆様からいただいたご意見をご紹介させていただきます。

<映像で紹介されていた子どもの居場所について>
 ・学童期の子ども対象とする場合は、お菓子や遊びなど、 “何かを与える”ことで比較
的上手く「居場所」をつくることができる。一方、思春期以降の子どもの場合は、
“何かを提供する”ことでつながるのは難しいのではないか。
 <映像で紹介されていたシェアハウスについて>
 ・映像の中に「拡張家族」ということばがあった。なぜ、「家族」にこだわる必要があるのか。「家族」が上手くいっていなかった子ども、「家族」に嫌な思い出がある子どもは、「家族」という言葉がつくだけでしんどさを感じるのではないか。
 ・映像では、「昭和の長屋」というコンセプトが、肯定的なものとして用いられていた印象があった。「昭和の長屋」は本当に「良いもの」だったのだろうか。争いも多かったというのが実際ではないか。
 ・シェアハウスの社会実験に参加している人たちは、高い家賃を支払うことができる、経済的に自立した、同質性の高い「キラキラ」した人たちのように感じた。そうではない人にとって、あのような「居場所」はしんどいかもしれない。
 ・地域に溶け込むのは簡単ではない。地域によっては、異質なものを受け入れる土壌が少ないのではないか。


<思春期以降の子どもの居場所について>   
 ・10歳くらいまでは、大人から声を掛けられることを「嬉しい」と感じることが多いが、思春期以降になると、声をかけられるのが嬉しいばかりではなく、うざいと感じることもあると思われ、思春期以降の子どもとどのような距離感で関わればよいのかが難しい。
 ・子どもやお年寄りは、自分にできないことがあるのを自覚しているが、18歳頃になると、自分でなんでもできると感じて、できるはずのことができないと思うと恥ずかしくて人に頼めなかったり、自分でできると思っていることに口出しされると、腹が立つこともあるのではないか。
 ・映像資料にあった子ども家庭庁のデータによると、16~19歳の子どもは、何もしなくてもよくて自由にだらだらできる居場所を求めている。それにも関わらず、行政から居場所として目に見えるかたちでの「成果」を求められると、「居場所」の意味や目的、本来子どもたちが欲しているものとずれてしまうのではないか。  
 ・社会の問題であり、子ども本人の責任ではないことで、子どもが上手くいかないことがある。そういう場合の対応策として、ステップを小さく設定して、子どもが確実にできる経験を積ませていくという方法があるが、小さい一歩から、ということを子ども本人が認めることが難しく、受け入れるために時間がかかることがある。自分の弱さを受け入れる怖さがあるのではないか。
 ・年長の子どもの場合、「居場所」で大人が過干渉をしたらいなくなってしまうと思われる。自分でやらせてみて、失敗したら個別に声をかける、本人のペースを尊重することが重要である。また、普段から親しくなっておくことで、必要なときに踏み込んだことが言えるかもしれない。  
 ・子どもと仲間としてかかわると、素が出やすいと思う。日向ぼっこのサロンはそういう場でありたい。
 ・子どもが「見える」ようになるまでには時間がかかると感じる。
 ・ありのままの自分を出せる「居場所」でありたいと思うが、「居場所」に来ても、子どもは「居場所の顔」をつくっているように感じる。
 ・「居場所の顔」を見せているかもしれないが、そうだとしても、会話の中で休めているのではないか。  
 ・「居場所」にとって大事にしなければならないことは、「選択肢のひとつであること」ではないか。塾など、緩いつながりでも、3つくらい、複数「居場所」あればよいと思う。
 ・居場所がどこまで介入すべきか、という問題がある。
 ・「居場所」は、必ずしも 物理的な「場所」でなくてもいい。最終的には「人」が「居場所」になっていくと思う。話をしたり、聴いてもらえたりするだけで全然違う。そういう人と巡り合えるかどうかはとても大きいのでは。
  
 また、後日回答して頂いたアンケートでは、居場所を運営されているご自身のご経験を踏まえたご感想をいただきました。
 今回の勉強会を通して、思春期以降の子どもの「居場所」特有の課題や目的を改めて考えることができました。また、「家族」や「地域」とは異なる「居場所」の意義についても深く考えるきっかけになったと感じます。

次回の勉強会は6月11日(日)15時~17時、テーマは「児童福祉法の改正点」です。
みなさまのご参加をお待ちしております。

  

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